こんにちは、兎々梨です。派遣社員の傍ら副業でイラスト制作をやっています。
ある日急に自分の絵に満足できなくなったり、漠然と「何かが変なのは分かってるんだけど解決できず放置している」なんて現象、皆さんは経験したことはありますでしょうか。
私の場合、この現象が少なくとも年に1度は必ずやってきます。
描きたいものが描きたいように描けない。
そうなると筆も進まない。描くことが楽しくない。
ま〜〜〜〜しんどいし面倒です。
幼い頃はそこまで難しいことを考えずにのびのびと描けていたのに、一体何が違うのか。
実はこの現象って、成長し続けているサインなんですよね。
厳密にはスキルアップ目前で、次のレベルに上がるためにもう1アクション起こさなければいけない。
そんなタイミングなのではないかと思っています。
この記事では、そんな伸び悩んでいる方に向けた対処法を紹介します。
①プロの絵をなぞってみる
一つ目は「プロの絵をなぞってみる」、つまりトレースです。
もちろん、トレースした絵をそのままネットなどに載せることは御法度(下手したら著作権侵害で訴訟)ですが、それをせずに個人でなぞって練習する分には全く問題ありません。
トレースの何が良いかというと、普段自分が描かない形を知ることができるのです。
目の形や顔のパーツのバランス、髪の毛束の表現や服の皺の描き方などなど。「ああ、こうやって描いてるのか/描いても良いのか…」と私はよく思います。特に最前線で活躍されている人のアイデアと技術は目から鱗間違いなし。
これだけでも表現の引き出しが一気に増えます。
やり方としては、1人の作家に絞らず、複数人の作家のイラストをトレースすることを推奨します。
なぜかというと、1人の作家の絵だけだとその人の真似事になってしまうからです。
引っ張られすぎてしまうんですよね。
絵柄はその人の個性であり大きな魅力です。
自分の絵柄を探求するため、そして見失わないためにも、偏らないように色々なイラストをなぞってみましょう。
一度に詰め込む必要はないので、「今日はこの人」「次回はこの人」といった感じでシャッフルするのがおすすめです。
ちなみに、成果を他者に見てほしいからとトレースした絵をネットに載せることはお控えくださいね。あくまで孤独に粛々と、悟りを開きながらやるのです。
②1日〜数日放っておく
二つ目は「1日〜数日放っておく」です。
描いたイラストはその日のうちに完成とせず、寝て起きた次の日以降にもう一度見てください。
寝るのが個人的なポイントです。
まとまった時間そのイラストから目を離すことで、昨日までは分からなかった「なんだか変なところ」の正体が見えてきたりします。
これはあくまで私の体感ですが、イラストを描いている時って視野が狭くなるというか、イラストに目が慣れてしまって狂いを見つけにくいなと思うことがあります。
間近で赤い何かを見つめ過ぎていて、少し時間を置いて遠目から見たら「あ、トマトだったのかこれ」と気づくような。名状し難い不思議な感覚です。
本音をこぼすと、描いてる最中に気づいたとしても直すのが面倒で無意識に放置していたり。
また、変なところの発見だけでなくイラスト全体の見栄えも翌日以降では変わっていると思います。
空白のバランスがイマイチだったり、色が意図せず地味だったり。
これらに自発的に気づけた体験は経験値として積み重なっていき、画力の上達につながります。
描きあがったイラストはつい鮮度の高いうちに公開したくなってしまうところですが(私もついやりがち)、幸いイラストは鮮度が落ちるどころか数日寝かせた方が美味しいまでありますので、一度ぐっと堪えて試してみてください。
そしてイラストの改善点を見つけられた自分を褒めてあげてください。実はめちゃくちゃ凄いことやってます。
③世のことわりを知る(?)
三つ目は「世のことわりを知る」です。急にスケールが大きくて意味が分かりませんね。
要は人間の形や影の落ち方、つまり自然界のルールを今一度学び直してみようということです。
例えば何かしらの人物を描いたとして、その姿が現実の人間の姿とあまりにもかけ離れていたら当然違和感を感じます。
かといって現実に忠実に描かずとも、デフォルメキャラクターのように「現実にはいないけどこれは”人間”」と認識することもできます。この違いは一体なんなのかと。
重要なのは法則です。
例えば人間の左右の腕は同じ長さで、脚も同じ長さ。耳の位置は目の横、手首は足の付け根〜太ももらへん。パーツも上からざっくり頭、胴体、脚と分けることができます。
当たり前といえば当たり前なのですが、人間って結構左右対称なんですよね。自分で触ってみるとよく分かると思います。
リアル等身だろうとデフォルメだろうとこれらの法則から著しく外れなければ、違和感はかなり減らせるのではないかと思います(敢えて法則から外れて人外感を演出するという手もあります)。
影についても法則があります。
例えば普通の室内のテーブル上にリンゴが置いてあるとして、その光景をデッサンするとします。
この場合一番濃く塗るべき影は、テーブルとリンゴの接触面です。
角度やライトの位置によって多少変化しますし、描画面積もほとんど無いような部分ですが、「どこが一番暗くて、どこが一番明るいのか?」という法則が分かっているだけでも迷いが減り、イラストの見栄えをコントロールすることができます。
絵を描くためのヒントは日常の中に転がっています。たまには身の回りのものをまじまじと観察してみると、新しい発見があるかもしれません。
④写真を撮ってみる
四つ目は「写真を撮ってみる」です。
先ほど「世のことわりを知ろう」と書きましたが、とはいえ知ったところで実際描くとなると難しいものです。
キャンバスの前でペンを構えていても、服の皺の描き方が浮かぶわけでもありません。
腰と肩がどう連動しているのかも分かりません。
ならば本物を見れば良いじゃないかということで、私は自分でポーズをとって姿見の前で自撮りすることが多々あります。
リアル等身のキャラクター立ち絵を描くときは大体撮ってます。
もちろん自分を撮らずとも、モデル雑誌などから自分が描きたい構図に近い写真を探して参考にするのもOKです。
ノートや空き箱を組み合わせて背景を作り、簡易的に影の落ち方を確認することもできます。
絵が描ける人って何も見ずにサラサラ描いてるイメージがあるかもしれませんが、資料見てます。めっちゃ見てます。
確かに上手い人の中には何も見ずに色々なものが描ける人もいますが、それは今までに得た知識と技術と手癖が成せる超上級技のようなものです。
私たちの見えないところで、私たちの想像をはるかに超える練習を積んでいるのだと思います。
というわけで、写真などの資料は積極的に参考にすることをお勧めします。
ちょうど良い資料を見つけられない場合は思い切って参考本を購入しましょう。
痒い所に素早く手が届きますし、ネットには載っていない情報を得ることもできます。
ちなみに最近私は筋肉の本を購入しました。
お金がかかるので少し躊躇いを感じるかもしれませんが、知識への投資は非常に価値が高いです。
お財布と相談しながら、ぜひ柔軟にご検討ください。
⑤絵を描くことから一旦離れてみる
最後は、「絵を描くことから一旦離れてみる」です。
これはもう描くことがちょっと面倒になってる場合の対処法です。
離れちゃったら上達するどころか逆効果では?と思うかもしれませんが、実はこれ、私もしばしばやっています。結構効果あります。
私は絵のようなものを初めて描き始めてから、もう10年以上経ちます。
その間、常に描くことに向き合っていたかというとそうでもなくて、離れたり戻ってきたりを繰り返しながら今に至ります。半年くらい絵から離れていた期間もあったかな。
ある日急に思うように絵が描けなくなって、かといって描き方を勉強するのも面倒で、いっそ割り切って離れているとその期間中に創作欲を刺激されるようなものに出会ったりして。
なんやかんやあって「絵を描きたいな」という気持ちが戻ってきます。
この繰り返しですね。
絵を描きたくない時はスタミナが切れかかっている時でもあると思うので、心身ともに適度にリフレッシュさせてあげるのは良い手です。
絵を描くって見た目以上に体力精神力を使うし、長時間デスクワークで体もボロボロになりやすいですから。
私は20代にして常に体のどこかしらが痛いです。整体に通いたいです。
体は資本ですから、絵を描く人は特に健康にお気をつけください。
首肩背中腰のどこかに急にガタが来ます。一緒にゆるっと筋トレでも頑張りましょうぞ。
まとめ
画力の伸び悩みに対して、5つの対処法を紹介しました。
まとめとして私からお伝えしたい重要な点は、「描けない自分を追い詰めすぎてはいけない」「思うように描けない現象は正解を学べば解決できる」という2点です。
でもこれが難しいんですよね、特に後者は分かっていても学ぶこと自体が億劫だったりもして。
今の私の絵は、そんな億劫な気持ちと向き合ったり逃げたりしながら、少しずつ積み重ねた知識で構成されています。
それでもまだまだ学んでいないことや学べることはたくさんあります。
人生も絵描きも生涯勉強です。
向き合えないときは無理せず一旦離れて、「絵を描きたい!」という衝動のガソリンを補充してから、また気が向いた時にペンを握れば良いのです。
もしイラストで行き詰まった時は、この記事を思い出して頂けたら幸いです。
良き絵描きライフをお送りくださいませ。
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